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個人向け国債とは|変動10年・固定5年・固定3年の違い、中途換金のルール、預金との違い
① 個人向け国債とは|どんな商品か
国債とは、国がお金を借りるために発行する債券のことです。債券の基本は債券投資とは?株式との違いと基本の仕組みをご覧ください。
財務省の「よくある質問」によると、個人向け国債は、個人の国債保有を促進するために導入された商品で、1万円単位で始められ、中途換金もできるなど、個人の方が購入しやすいよう工夫が盛り込まれているとされています。原則として個人だけが保有できます(財務省の案内では、令和8年12月募集分から一部の法人等にも販売対象を広げ、商品名を「個人向け国債プラス」に変更する予定とされています。詳しくは財務省のページでご確認ください)。
通常の国債(利付国債)の最低額面が5万円であるのに対し、個人向け国債は最低1万円から、1万円単位で購入でき、購入金額に上限はありません。購入には、証券会社、銀行、ゆうちょ銀行などの取扱金融機関で国債の口座を開設する必要があります。
- 債券全般の基本(株式との違い、価格と金利の関係など):債券投資とは?
- 生活費の備えの考え方:生活防衛資金の考え方
- 資産を分けて持つ考え方:分散投資・ポートフォリオの考え方
- この記事:個人向け国債の3タイプの違い、中途換金のルール、預金との違い
② 3つのタイプの違い|変動10年・固定5年・固定3年
財務省の「商品概要」のページ(2026年10月確認)では、個人向け国債は、半年ごとに適用利率が変わる「変動10年」と、発行時に決まった利率が満期まで変わらない「固定5年」「固定3年」の3タイプがあると説明されています。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 |
|---|---|---|---|
| 満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
| 金利タイプ | 変動金利(半年ごとに適用利率が変わる) | 固定金利(満期まで変わらない) | 固定金利(満期まで変わらない) |
| 利率の決め方 | 基準金利 × 0.66 | 基準金利 − 0.05% | 基準金利 − 0.03% |
| 金利の下限 | いずれも年0.05% | ||
| 利子の受け取り | 半年ごとに年2回 | ||
| 購入単位 | 最低1万円から1万円単位(額面100円につき100円) | ||
| 償還金額 | 額面100円につき100円(中途換金時も同じと表記されています) | ||
| 発行頻度 | 毎月(年12回) | ||
| 中途換金 | 発行後1年経過すれば可能。直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685が差し引かれる | ||
表のとおり、購入単位、利子の回数、中途換金の条件と差し引きの計算は、3タイプで共通です(財務省の「中途換金についてのよくある質問」でも、3タイプの換金金額の計算式は同じ形で示されています)。違いが出るのは、主に満期の長さと金利のタイプです。
変動10年の特徴
財務省の「変動10年」の商品概要では、実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わり、その時々の受取利子が増減すると説明されています。たとえば将来、実勢金利が上がった場合、固定金利なら受取利子は変わらないのに対し、変動10年では受取利子が増えることになる、という例が示されています。逆に、実勢金利が下がれば受取利子は減りますが、年0.05%の下限があります。
固定5年・固定3年の特徴
固定金利タイプは、満期まで利率が変わらないため、発行した時点で満期までの受取利子が分かる、という点が特徴として示されています。受け取る利率は、そのとき募集している回号の利率で決まります。
③ 金利のしくみと、直近の発行分の利率(日付つき)
財務省のページによると、利率を決める「基準金利」は、タイプによって次のように定義されています。
- 変動10年:利子計算期間の開始日の前月までに最後に行われた10年固定利付国債の入札における、平均落札利回り(初回の利子については、募集期間開始日までの最後の入札)
- 固定5年・固定3年:募集期間の開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した、期間5年または3年の固定利付国債の想定利回り
つまり、利率は国債の市場の金利の動きにあわせて決まり、毎月の募集ごとに変わります。そのため、「個人向け国債の利率はいくらか」には、いつ発行される回号かによって答えが変わるという前提があります。
直近の募集分の例(令和8年10月15日現在)
財務省の「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」のページ(令和8年10月15日現在と表示)では、令和8年10月募集分(募集期間は令和8年10月8日〜30日、発行日は令和8年11月16日)の表面利率が、次のように示されていました。
| 商品 | 回号 | 表面利率(年・税引前) | 税引き後(財務省の表示) |
|---|---|---|---|
| 変動10年 | 第199回債 | 2.05% | 1.6335425% |
| 固定5年 | 第187回債 | 2.39% | 1.9044715% |
| 固定3年 | 第197回債 | 2.07% | 1.6494795% |
同じページでは、次回の募集予定が令和8年11月9日〜30日と案内されています。この数字は、あくまで上記の日付時点で表示されていた、その回号の利率です。変動10年は半年ごとに利率が見直されるため、この数字が10年間続くわけではありません。また、これから募集される回号の利率は変わります。購入を考えるときは、財務省の最新のページで、その時点の利率と募集期間を確認してください。なお、国債の利子は受け取るときに20.315%分の税金が差し引かれると、財務省のページに説明があります(「障害者などの非課税貯蓄制度(いわゆるマル優、特別マル優)」の適用を受けて非課税にできる場合があるため、詳しくは税務署などにご確認ください)。
④ 中途換金のルール|いつから、いくら差し引かれる?
個人向け国債は、満期を待たずに、途中で現金に換えることができます。これを中途換金といいます。財務省の「中途換金についてのよくある質問」(2026年10月確認)にもとづいて、ルールを整理します。
換金できる時期と単位
- 3つのタイプのすべてで、第2期利子支払日(発行から1年経過)以降であれば、原則としていつでも、口座を開設している取扱機関で中途換金できる
- 発行後1年間は、原則として中途換金できない
- 1万円単位で、一部だけでも、全部でも換金できる
- 換金金額が支払われるのは、申し込んだ日を含めておおむね3営業日後(タイミングや金融機関によって異なる)
- 中途換金そのものの手数料は必要ない(額面から所定の金額が差し引かれるほか、手数料はかからないと説明されている)
ただし、口座の名義人が亡くなった場合や、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害で被害を受けた場合は、1年を経過する前でも中途換金ができる特例があります。手続きに必要な書類などは、取扱機関に確認が必要です。
換金金額の計算と「差し引かれる額」
財務省の説明では、第3期利子支払日以降に換金する場合の換金金額は、次のとおりです。
- 額面金額 + 経過利子相当額 − 直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685
この「直前2回分の利子相当額に0.79685をかけた金額」が、中途換金調整額として差し引かれます。0.79685は、国債の利子を受け取るときに20.315%の税金が差し引かれているため、という説明が財務省のページにあります。計算の考え方は、換金する時期によって上記の4つの場合に分かれており、初回の利子支払日の前や、第2期利子支払日の前後では式が異なります。ご自身が換金したい時期の金額は、財務省サイトの中途換金シミュレーションや、取扱機関で確認してください。
また、財務省の「現在募集中の個人向け国債」のページでは、中途換金について「元本割れのリスクなし」と案内されています。ただし、換金すると、直前2回分の利子に相当する金額が差し引かれるため、保有していた期間に受け取れるはずだった利子の一部を手放す形になります。「いつでもお金に換えられる」ことと、「満期まで持った場合と同じ金額になる」ことは別です。この違いを、事前に理解しておくことが大切です。
⑤ 預金・個人向け国債・株式や投資信託の役割の違い
「預金と個人向け国債はどちらがよいのか」と聞かれることがありますが、優劣をつけるのではなく、役割と性質の違いを知っておくことが大切です。ここでは、公的機関の説明で確認できる範囲で比べます。
| 項目 | 預金 | 個人向け国債 | 株式・投資信託 |
|---|---|---|---|
| 元本の考え方 | 預金保険制度で一定額まで保護される(下記参照) | 満期の償還金額は額面100円につき100円。元本や利子の支払いは国が行う(財務省の案内) | 値動きがあり、元本割れの可能性がある |
| 値動き | 預けた元本は増減しない | 財務省は、実勢金利が変動しても元本部分の価格は変動しないと説明している | 日々、価格が動く |
| 利子・利回り | 金融機関と商品によって異なる | タイプと回号によって異なる(変動10年は半年ごとに変わる) | 決まっていない(配当や値上がり益は変動する) |
| お金を引き出す・換える | 商品によって異なる(定期預金は満期前の解約に条件がある場合がある) | 発行後1年は原則不可。以降は中途換金できるが、調整額が差し引かれる | 売却できるが、売る時点の価格になる |
| 主な使い道の例 | 日常の出し入れ、生活費の備え | 元本の考え方が明確な形で、お金を一定期間置いておく | 長期での資産形成など |
預金については、預金保険機構の説明(2026年10月確認)によると、利息のつく普通預金や定期預金などは、1つの金融機関ごとに合算して、預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。決済用預金(無利息・いつでも払い戻し可能・決済サービスを提供できる、の3要件を満たすもの)は全額が保護され、外貨預金や譲渡性預金などは保護の対象外とされています。この仕組みは、国債の元本が国によって償還される仕組みとは別のものです。
株式や投資信託は、価格が上がることもあれば下がることもあり、元本割れの可能性があります。その代わり、値上がり益や配当などが期待できる、という性質の違いがあります。個人向け国債は、利率が国債の市場の金利の動きにもとづいて決まり、値上がり益を狙う商品ではない、という点が株式や投資信託との違いです。
注意したいのは、物価が上がる局面です。個人向け国債の元本は額面どおりに戻りますが、物価が上がると、同じ金額で買えるものが減る場合があります。利率が物価の上昇に追いつくかどうかは、そのときの金利と物価の動きによって変わります。どの商品にも、それぞれのリスクと限界があります。
⑥ 生活防衛資金との関係と、「おすすめ」を探す前の視点
投資を始める前に、病気や失業などに備える生活費の備え(生活防衛資金)を別に用意しておく、という考え方があります。詳しくは生活防衛資金の考え方|投資を始める前に用意すべきお金をご覧ください。ここで知っておきたいのは、個人向け国債は「発行後1年間は原則として中途換金できない」点です。すぐ使う可能性があるお金を、すべて個人向け国債に回してしまうと、必要なときに使えない場合があります。
生活防衛資金をどこに置くかは人によって考え方が違います。この記事では、どれがよいとは言いません。「いつまでに使う可能性があるお金か」を先に考えることが、商品選びの前の大事な視点です。
「個人向け国債 おすすめ」と検索する前に
「おすすめはどれか」という疑問は自然ですが、3つのタイプのどれが合うかは、人によって、そして時期によって違います。次のような問いに、ご自身で答えてみるのが一つの方法です。
- そのお金を、何年後までに使う可能性があるか(満期の長さと、1年間の中途換金の制限との関係)
- 利率が固定のほうが分かりやすいか、変動で金利の動きに合わせたいか
- そのお金は、生活防衛資金か、すぐには使わない資金か
- 預金・個人向け国債・株式や投資信託を、それぞれどのくらいの割合で持ちたいか(分散投資・ポートフォリオの考え方も参考になります)
- 物価の上昇が気になるか、元本の考え方の分かりやすさを重視したいか
このように、「おすすめ」は条件によって変わります。迷うときは、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなどにも相談してみてください。
⑦ 買う前のチェックリスト
実際に買うときは、次の点を確認しておくと、後から「思っていたのと違った」となりにくくなります。
- 現在の募集期間と利率(財務省の「現在募集中の個人向け国債」のページで確認。募集期間は月初〜月末営業日までの概ね1か月間と案内されています)
- どのタイプ(変動10年・固定5年・固定3年)が、ご自身の使う予定の時期に合うか
- 発行後1年間は原則として中途換金できないこと
- 中途換金すると、直前2回分の利子(税引前)相当額 × 0.79685が差し引かれること
- 取扱金融機関と、国債の口座の開設・維持にかかる手数料の有無(金融機関によって異なる)
- 国債の口座を持っていない場合は、本人確認書類やマイナンバーが確認できる書類などが必要になること
- 未成年の場合は、年齢制限はないが、親権者の同意が必要など金融機関によって扱いが異なること
- 利子から税金が差し引かれること(受け取り時に20.315%)
債券の基本は債券投資とは?株式との違いと基本の仕組み、少額から始める考え方は投資はいくらから始められる?少額で始める考え方、投資の目標の立て方は資産運用の目標設定|ライフプランに合わせた投資額の考え方で整理しています。制度や利率は変わるため、購入の直前に、最新の公式情報を確認することが大切です。
個人向け国債とは別に、株式や投資信託など、ほかの投資も検討している方向けの広告です。広告主の紹介によると、DMM株は初心者向けのサポートに力を入れている証券会社とのことです。取り扱いの商品や口座の種類、手数料など、サービスの内容や利用条件は、公式サイトでご確認ください。なお、この広告は個人向け国債の購入先を案内するものではありません。個人向け国債を取り扱う金融機関は、財務省のサイトに一覧があります。ほかの金融機関が合う方もいますので、ご自身で比べて選んでください。
初心者も安心!サポート充実の【DMM株】 →📌 まとめ
- 個人向け国債は、個人が購入しやすいよう設計された国債で、最低1万円から1万円単位で購入でき、毎月(年12回)発行されている
- タイプは、半年ごとに利率が変わる「変動10年」と、満期まで利率が変わらない「固定5年」「固定3年」の3つ。金利の下限は3つとも年0.05%
- 購入単位、利子の回数、中途換金の条件と差し引きの計算は3タイプで共通。違いは主に満期の長さと金利のタイプ
- 中途換金は発行後1年経過すれば可能。直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685が差し引かれるため、満期まで持った場合と同じ金額にはならない
- 令和8年10月15日現在の財務省の表示では、10月募集分の表面利率は変動10年2.05%、固定5年2.39%、固定3年2.07%。募集ごとに変わるため、最新は財務省のサイトで確認する
- 預金・個人向け国債・株式や投資信託は、元本の考え方、値動き、使い道が違う。優劣ではなく役割の違いとして、いつ使う可能性があるお金かを先に考える。最終判断はご自身で
- 財務省「個人向け国債 商品概要」(2026年10月確認)
- 財務省「変動10年」商品概要(同上)
- 財務省「個人向け国債の商品性についてのよくある質問」(同上)
- 財務省「個人向け国債の発行等についてのよくある質問」(同上)
- 財務省「個人向け国債の中途換金についてのよくある質問」(同上)
- 財務省「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」(令和8年10月15日現在の表示を確認)
- 財務省「個人向け国債 はじめての方へ」(2026年10月確認)
- 財務省「個人向け国債の法人等への販売対象拡大について」(同上)
- 預金保険機構「預金保険制度の概要」(同上)
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言を行うものではありません。制度の内容や利率は2026年10月時点で確認できた情報にもとづいており、変わる場合があります。購入や中途換金の手続き、手数料は金融機関によって異なります。最新の情報は財務省のサイトや取扱金融機関でご確認のうえ、最終判断はご自身で行ってください。