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iDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取り方|一時金・年金・併用と、税金(退職所得控除・公的年金等控除)の基本
① iDeCoの「受け取り」の全体像|老齢給付金とは
iDeCoで積み立てた資産を、老後に受け取るお金のことを老齢給付金といいます。国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトによると、老齢給付金は原則として60歳から受け取ることができ、受け取り方には「年金」と「一時金」があります。さらに、一部の運営管理機関では、両方を組み合わせる方法(併用)も扱っているとされています。
ポイントは、税金の扱いが受け取り方で変わることです。国税庁のタックスアンサー(番号1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」)では、個人型年金規約などにもとづいて老齢給付金として支給される一時金は、退職所得とみなされると説明されています。一方、年金として受け取る場合は、所得税法施行令(第82条の2)で、老齢給付金として支給される年金が「公的年金等」にあたる給付として定められており、雑所得(公的年金等)の扱いになります。つまり、
- 一時金で受け取る → 退職所得(退職所得控除を使って計算)
- 年金で受け取る → 雑所得の中の公的年金等(公的年金等控除を使って計算)
という整理です。どちらも税金の計算の前に差し引ける「控除」がありますが、ルールは別々です。
- iDeCoの仕組み・NISAとの違い・加入のしかた:iDeCoとは?NISAとの違いと使い分け
- NISA口座の開き方:NISA口座はどこで開く?証券会社比較の考え方
- 新NISAでの失敗例と確認点:新NISAでよくある失敗と、始める前にできる確認
- NISA以外の課税口座の税金:投資にかかる税金の基本
- この記事:iDeCoを受け取るときの種類・年齢・税金の基本
② 何歳から受け取れる?加入期間による違いと75歳まで
原則は60歳。ただし加入期間が短いと開始が遅くなる
iDeCo公式サイトの「老齢給付金について」によると、老齢給付金は原則60歳から受け取れますが、60歳から受け取るには、通算加入者等期間が10年以上必要です。10年に満たない場合は、受け取れる年齢が次のように繰り下がります。
| 通算加入者等期間 | 受け取りを開始できる年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 2年未満 | 65歳 |
「通算加入者等期間」とは、iDeCoの加入期間などを通算した期間のことで、細かい数え方は人によって違う場合があります。ご自身の期間は、運営管理機関や、記録を管理している記録関連運営管理機関(RK)に確認してください。なお、60歳以上で初めて加入した方は、通算加入者等期間がなくても、加入から5年を経過した日から受け取れるとされています。
受け取り開始は75歳までの間で選べる
公式サイトでは、受給の請求は75歳までに行う必要があると案内されています。請求がないまま75歳を過ぎると、資産は法務局に供託(預けられる扱い)されるとされています。逆にいえば、受け取りを開始する時期は、受け取れる年齢になってから75歳になるまでの間で選べます。60歳になってもすぐに受け取る必要はありません。
③ 一時金・年金・併用|3つの受け取り方
iDeCo公式サイトの説明を整理すると、受け取り方は次の3つです。
| 受け取り方 | 公式サイトでの説明(要点) | 税金の扱い(基本) |
|---|---|---|
| 一時金 | 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達後、75歳までの間に一括で受け取る | 退職所得(退職所得控除) |
| 年金 | 有期年金として、5年以上20年以下の期間で受け取る。運営管理機関によっては終身年金を選べる場合もある | 雑所得(公的年金等控除) |
| 併用 | 一部を一時金で、残りを年金で受け取る。取り扱いのない運営管理機関もあるため、問い合わせが必要 | 一時金の部分と年金の部分で、それぞれの扱い |
年金で受け取る場合の期間は、運営管理機関が定める方法の範囲で選ぶ形になります。運営管理機関によって、選べる期間や併用の可否が違うため、いま利用している金融機関にどこまで選べるのかを、早めに確認することが大切です。
受け取り方は、どれか1つが正解というものではありません。人によって前提が違うからです。次の章から、それぞれの税金の基本を確認します。
④ 一時金で受け取る場合の税金|退職所得控除の基本
退職所得控除の計算方法
一時金は退職所得とみなされ、退職所得控除という大きな控除を使って税金の対象となる金額が計算されます。国税庁のタックスアンサー(番号1420)では、退職所得控除額は、勤続年数(Aとします)に応じて次のとおりです。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年) |
そして、退職所得の金額は、原則として(収入金額 - 退職所得控除額)× 2分の1で計算されます(国税庁・所得税法第30条)。国税庁のページには、勤続10年2か月なら11年(1年未満の端数は1年に切り上げ)として440万円、勤続30年なら1,500万円、という例が示されています。なお、障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、100万円が加算されるなどの特例もあります。
iDeCoでは「加入期間」が勤続年数にあたる
会社の退職金では「勤続年数」で計算しますが、iDeCoの一時金では、所得税法施行令(第69条)で、掛金を納付した加入者期間などをもとに期間を数えるとされています。1年未満の端数は1年に切り上げて計算します(同条第2項)。企業型の確定拠出年金(企業型DC)にも加入していた方は、企業型の加入期間とiDeCoの加入期間が重なっている部分を二重に数えない形で合算する、という趣旨の定めもあります。ご自身の「加入期間」がどう数えられるかは、運営管理機関や税務署に確認してください。
- 個別の税額の計算例は示しません。控除額・税額は、ほかの退職金の有無、受け取る年、ほかの所得などで変わります
- 勤続年数が5年以下の場合など、別の計算になる区分が国税庁のページに示されています。当てはまりそうな場合は税務署にご確認ください
- 住民税など、所得税以外の扱いは、お住まいの市区町村や税理士にご確認ください
⑤ 年金で受け取る場合の税金|公的年金等控除の基本
年金で受け取る場合は、先ほど触れたとおり、雑所得のうち公的年金等として扱われます(所得税法第35条、所得税法施行令第82条の2)。国税庁のタックスアンサー(番号1600「公的年金等の課税関係」)では、公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算すると説明されています。
ここで知っておきたい点は次のとおりです。
- 公的年金等控除額は、年金の収入金額や、公的年金等以外の所得の大きさなどに応じて決まる仕組みです。金額の表や計算式は国税庁のページに掲載されており、改正されることがあるため、最新の内容は国税庁で確認してください
- 国民年金や厚生年金などの公的年金も同じ「公的年金等」に含まれ、控除も合算して使う形になります。iDeCoを年金で受け取ると、公的年金とあわせた収入で税金が計算されます(国税庁の説明では、控除額は公的年金等の収入金額の合計額に応じて求めるとされています)
- 年金から源泉徴収(受け取るときに先に引かれる税金)が行われる場合があります。確定申告が必要かどうかは、収入や他の所得の状況で変わるため、国税庁のページや税務署で確認してください
年金で受け取ると、毎年の収入が増えるため、公的年金やほかの収入とあわせた課税のされ方や、その収入にもとづいて決まる社会保険料などへの影響も考えておく必要があります(影響の出方は人によって違います)。こうした点も、「どの受け取り方が有利か」が一概に言えない理由のひとつです。
⑥ 他の退職金と受け取り時期が近いとき|調整ルールと2026年の見直し
退職所得控除が「重なる」場合の調整
会社員の方は、勤務先の退職金(退職手当等)と、iDeCoの一時金を、どちらも退職所得として受け取る可能性があります。このとき、受け取る時期が近いと、あとから受け取る側の退職所得控除が小さくなる調整があります。所得税法第30条第6項と所得税法施行令第70条に、その定めがあります。
e-Gov法令検索で確認できる所得税法施行令第70条(2026年10月時点)では、調整の対象となる期間が、受け取りの順番によって次のように定められています。
| 受け取りの順番 | 調整の対象になる期間(条文の言い方) |
|---|---|
| 先に会社の退職金など → 後にiDeCoの一時金 | iDeCoの一時金を受け取る年の前年以前19年内に、退職手当等を受け取っている場合 |
| 先にiDeCoの一時金 → 後に会社の退職金など | 退職手当等を受け取る年の前年以前9年内に、iDeCoなどの老齢給付金の一時金を受け取っている場合(2026年1月1日以後に受け取った一時金が対象) |
| 退職手当等どうし(iDeCoの一時金を含まない) | 前年以前4年内に受け取っている場合 |
先にiDeCoの一時金を受け取る場合の「9年内」は、2026年1月1日以後に受け取った一時金が対象と条文に書かれています。条文では「前年以前○年内」という書き方ですが、受け取った年をあわせると「5年」「10年」「20年」と数える解説も見られます。実際に調整の対象になるかどうか、どれだけ控除が減るかは、受け取る時期と期間の重なりによって変わるため、この記事では計算はしません。
また、会社の退職金のほかに、企業型DCの一時金など、同じように退職所得として扱われるものがある方は、さらに複雑になります。受け取る順番や時期を決める前に、勤務先(退職金の担当部署)、運営管理機関、税務署、税理士に確認してください。
2026年12月施行予定の改正は、受け取りにどう関係する?
厚生労働省の「2025年の制度改正」のページによると、2026年12月1日施行予定で、iDeCoの加入可能年齢の引き上げ(国民年金被保険者以外の60歳以上70歳未満でも、要件を満たせば加入・継続拠出が可能になる)と、拠出限度額の引き上げ(会社員・公務員などは月額6.2万円、自営業者などは月額7.5万円)が予定されています。ただし、加入できるのは、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をすでに受給していない方とされています。
つまり、「受け取り始めると、そのあとは掛金を出せない」ことが、加入の要件からも読み取れます。60歳以降も働き続けて掛金を出したい方は、受け取りの開始時期をどうするかも、あわせて考えることになります。ただし、これは「受け取りの時期を選ぶ幅が広がる可能性がある」という一般的な話で、実際の対象になるかどうかや手続きは、厚生労働省や運営管理機関の案内で確認してください。
⑦ 「どちらが得か」の考え方と、受け取り前のチェック
手取りは、人によって変わります
「一時金と年金、どちらの手取りが多いのか」は、よく聞かれる疑問です。ただし、どちらが有利かは、人によって違うため、この記事では結論を示しません。判断に関わる主な要素は次のとおりです。
- iDeCoの資産額(運用結果で変わり、元本割れの可能性もあります)
- iDeCoの加入期間(退職所得控除の大きさに影響します)
- 会社の退職金や企業型DCの有無と、受け取る時期(前章の調整ルール)
- 受け取る年の公的年金や、ほかの収入の大きさ(公的年金等控除や、社会保険料への影響)
- まとまったお金が必要な時期があるか、生活費を年金として少しずつ受け取りたいか
こうした条件が人によってまるで違うため、「一時金のほうが得」「年金のほうが得」と一言で言うことはできません。具体的に比べたい場合は、税務署、税理士、運営管理機関の窓口などで相談してください。
受け取り時の手数料
iDeCoには、加入時や加入中にかかる手数料があります。受け取り時の手数料については、公式サイトの原文で金額や負担先を確認できなかったため、具体的な金額は書いていません。iDeCoとは?にも手数料の項目がありますので、あわせてご覧いただき、受け取りの前には、利用している運営管理機関に「受け取り時にかかる手数料はいくらか」「年金で受け取る場合はどのようにかかるのか」を確認してください。
受け取り前のチェックリスト
- 自分の通算加入者等期間と、受け取りを開始できる年齢(運営管理機関・RKで確認)
- 選べる受け取り方(一時金・年金・併用)と、年金の期間・回数
- 受け取りの請求の手続きと、必要な書類・日数
- 会社の退職金や企業型DCを、いつ・いくら受け取る予定か(調整ルールの確認)
- 公的年金の受け取り開始時期と、年間の収入の見通し
- 受け取り時の手数料
- 生活費の備え(受け取りの前に、日々の生活の資金を別に確保できているか)
生活費の備えの考え方は生活防衛資金の考え方、老後を含めた投資の目標の立て方は資産運用の目標設定|ライフプランに合わせた投資額の考え方、iDeCoと並ぶ制度であるNISAの口座の選び方はNISA口座はどこで開く?証券会社比較の考え方、新NISAでの注意点は新NISAでよくある失敗と、始める前にできる確認で整理しています。制度や税制は変わるため、受け取りの直前に、最新の公式情報を確認することが大切です。
iDeCoとは別に、NISAなどで株式や投資信託を買うために証券会社の口座を検討している方もいると思います。広告主の紹介によると、DMM株は初心者向けのサポートに力を入れている証券会社とのことです。取り扱いの商品や口座の種類、手数料など、サービスの内容や利用条件は、公式サイトでご確認ください。ほかの金融機関が合う方もいますので、ご自身で比べて選んでください。
初心者も安心!サポート充実の【DMM株】 →📌 まとめ
- iDeCoの老齢給付金は原則60歳から受け取れるが、通算加入者等期間が10年未満だと開始年齢が繰り下がる(最長65歳)。受給の請求は75歳までに行う
- 受け取り方は、一時金・年金・併用の3つ。選べる年金の期間や併用の可否は運営管理機関によって違う
- 一時金は退職所得(退職所得控除と2分の1の計算)、年金は雑所得の公的年金等(公的年金等控除)として扱われる
- 退職所得控除は、勤続年数(iDeCoでは掛金を納付した加入者期間などをもとにした期間)が20年以下なら40万円×年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×超過年数
- 会社の退職金などと受け取り時期が近いと、あとから受け取る側の退職所得控除が調整される。条文上は、先に退職金・後にiDeCoなら前年以前19年内、先にiDeCo・後に退職金なら前年以前9年内(2026年1月1日以後の一時金)などとされている
- 一時金と年金のどちらが有利かは、人によって違う。運用には元本割れの可能性もある。迷ったら運営管理機関・税務署・税理士へ。最終判断はご自身で
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「給付について(老齢給付金)」(2026年10月確認)
- iDeCo公式サイト「iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等」(同上)
- 国税庁 タックスアンサー 番号1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(同上)
- 国税庁 タックスアンサー 番号1600「公的年金等の課税関係」(同上)
- e-Gov法令検索 所得税法(第30条 退職所得、第35条 雑所得)(同上)
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(第69条 勤続年数の計算、第70条 退職所得控除額の計算の特例、第82条の2 公的年金等とされる年金)(同上)
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(iDeCoの加入可能年齢・拠出限度額の見直し)(同上)
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言・税務相談を行うものではありません。制度の内容は2026年10月時点で確認できた情報にもとづいており、変わる場合があります。受け取りの手続きや手数料は運営管理機関によって異なります。個別の税額や手取りは、運営管理機関、税務署、税理士などにご確認のうえ、最終判断はご自身で行ってください。