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信用取引とは?保証金・追証の仕組み、制度信用と一般信用の違い、初心者が知っておきたいリスク

サイト管理人
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株式投資歴20年。米国株・海外株・FX投資の経験をもとに情報をお届けします。
「信用取引」は、証券会社からお金や株を借りて株を売買する仕組みです。「手元の資金より大きな金額で取引できる」「株価が下がる場面でも売りから入れる」といった特徴がある一方、「追証(おいしょう)」「逆日歩(ぎゃくひぶ)」といった聞き慣れない言葉や、損失が預けたお金(保証金)を超える場合があるという注意点も、取引所の資料で示されています。この記事では、日本取引所グループ(JPX)、日本証券業協会、国税庁、e-Gov法令検索の公表情報にもとづいて、仕組み、委託保証金、維持率と追証、制度信用と一般信用の違い、コスト、リスク、税金とNISAの関係を整理します。株の注文のしかたは株の注文方法、課税口座の税金は投資にかかる税金の基本で扱っているため、この記事は「信用取引」に絞ります。信用取引をすすめるものでも、避けるよう促すものでもありません。特定の証券会社や銘柄の紹介、投資の助言も行いません。
⚠️ はじめにお読みください
この記事は2026年10月時点で確認できた公的機関などの公表情報をもとにした、一般的な説明です。保証金の率や維持率といった基準は取引所の規則で定められていますが、実際の取引条件(必要な保証金の額、追証の期限、金利・貸株料、取り扱う銘柄など)は証券会社ごとに異なる場合があります。また、信用取引では手元資金以上の損失が出る場合があります。制度や税制は改正されることがあります。取引条件の確認や最終的な判断は、ご自身で行ってください。

① 信用取引とは|現物取引との違いと、取引の流れ

現物取引は「全額を自分で用意」、信用取引は「借りて取引」

JPXの「信用取引の目的・仕組み」によると、通常の株式の売買(現物取引)では、買う人は買付代金の全額を、売る人は売る株式を、自分で用意して取引します。これに対して信用取引は、証券会社が顧客に買付資金や売付株式を貸し付けることで行う取引です。日本証券業協会の用語解説では、顧客が担保として委託保証金を差し入れ、買付代金や売付証券を借りて売買を行い、所定の期限内に返済する取引とされています。

項目 現物取引 信用取引
買う代金・売る株式自分で用意する証券会社から借りる(委託保証金を差し入れる)
売りから入る持っている株を売る借りた株を売る「信用売り」(空売りの一種)ができる
取引できる金額自己資金の範囲内委託保証金に対する一定の倍率まで(次の章)
期限なしあり(次の章以降で整理)
損失の大きさ買った場合、買付代金の範囲内手元資金以上の損失が出る場合がある(JPX)

JPXの2026年9月の資料では、特徴として、手元資金以上の取引ができること(レバレッジ効果)や「売り」から入れることなどが挙げられる一方、現金取引にはない留意点があり、仕組みを十分に理解する必要があるとも書かれています。

取引の流れと、返済の2つの方法

JPXの資料にもとづく流れは、次のとおりです。

返済の方法は2つあります。1つ目は反対売買で、買いから入った場合は株を売り(転売)、売りから入った場合は株を買い戻して(買戻し)、その差額が損益になります。2つ目は現引き・現渡しで、現引きは、買った側が融資相当額の現金を自分で用意して返済し、担保の株を引き取る方法、現渡しは、売った側が同じ種類・数量の株を自分で用意して返済し、売付代金を受け取る方法です。

② 委託保証金と、取引できる金額の目安

委託保証金とは

信用取引では、買った株が値下がりした場合や、売った株が値上がりした場合に損失が出ます。その損失に備えて証券会社に預けておく担保が委託保証金です。JPXの用語集では、売買が成立した日(約定日)の翌々日の正午までの、証券会社が指定する日時までに差し入れる担保とされています。現金のほか、有価証券でも代用できます(代用有価証券)。ただし、代用有価証券は時価に一定の比率を掛けた額で評価されるため、時価がそのまま保証金になるわけではありません。

必要な額は、約定価額の30%以上・最低30万円

JPXによると、委託保証金の額は、新規取引に係る約定価額の30%以上で、信用取引では、その額が30万円に満たない場合は30万円と定められています。なお、レバレッジ型・ダブルインバース型のETF・ETNの信用取引では、約定価額の60%以上が必要です。

保証金の率が30%の場合、計算上は保証金のおよそ3.3倍の金額まで新規に取引できます。JPXの資料にも、30万円の保証金で約100万円の取引ができる例が示されています。まだ返済していない信用取引の残りは建玉(たてぎょく)と呼ばれ、その約定価額の合計に対して保証金が必要になります。ただし、これは取引所の規則から計算した目安で、実際の上限は、代用有価証券の評価のしかたや、証券会社が独自に設けるルールで変わる場合があります。また、後述の取引規制で保証金の率が引き上げられる銘柄もあります。上限に近い金額で取引するほど、次の章の「維持率」までの余裕は小さくなります。

保証金の評価のしかた

JPXの資料では、保証金の評価は次の式で示されています。

💡 保証金の計算(JPXの資料より)
  • 保証金 = 差入額 - 確定損 - 評価損 - 金利等 + 確定益(確定損は決済済みの損失、評価損は建玉の含み損)

損失が出るほど、保証金として評価される額は目減りします。この目減りが一定の水準を超えたときに必要になるのが「追証」です。

③ 維持率と追証(追加保証金)とは

維持率は20%

JPXの用語集によると、委託保証金の額は、相場の変動による計算上の損失額などを差し引いて計算するため、減少する場合があります。この額は約定値段に対して一定の率以上を維持しなくてはならず、この率を委託保証金維持率といい、具体的な率は20%です。そして、JPXの「信用取引の目的・仕組み」では、当初の委託保証金から損失や費用を差し引いた金額が売買代金の20%を下回ったときに、追加の保証金(追い証、追証)を証券会社に差し入れることになると説明されています。

数字で考える(説明用の簡略例)

仕組みをつかむための、簡略化した数字の例です。約定価額100万円の株を信用で買い、保証金として現金30万円を差し入れたとします(代用有価証券、金利、手数料は考えません)。維持率の水準は、100万円 × 20% = 20万円です。

評価損 保証金の評価(30万円-評価損) 20万円との比較
5万円25万円上回っている
10万円20万円下回らない(水準ちょうど)
15万円15万円下回る(追証の対象になる)

保証金を30%ちょうどで差し入れた場合、約定価額の10%の評価損を超えると、維持率の20%を下回る計算になります。実際には金利などの費用も差し引かれるため、これより早く下回る場合があります。この数字は特定の取引を想定したものではありません。

追証が発生したときのルールは、証券会社で確認する

JPXの資料には、保証金額が一定率を下回ると、保証金の追加差入れ等が必要になると書かれています。一方で、追証が発生した後の差し入れの期限や方法、期限までに差し入れなかった場合の扱いは、取引所の資料では具体的な内容を確認できなかったため、この記事では書きません。これらは、取引する証券会社の取引ルールや契約締結前交付書面に定められており、JPXの資料にも、証券会社が独自のルールを設けている場合があると注意書きがあります。

④ 制度信用と一般信用の違い|期限・銘柄・コスト・配当

JPXによると、信用取引には2種類あります。制度信用取引は、返済期限が6か月以内であること、品貸料を授受すること、対象銘柄などが証券取引所の規則で定められている取引です。一般信用取引は、返済期限などを証券会社と顧客の間で合意した内容に従って行う取引です。

項目 制度信用取引 一般信用取引 (参考)現物取引
買付代金・売付株式証券会社から借りる(保証金を差し入れる)証券会社から借りる(保証金を差し入れる)自分で用意する
対象銘柄取引所が選ぶ証券会社が選ぶ(原則、全上場銘柄)全上場銘柄
期限最長6か月証券会社が決めるなし
品貸料取引所の規則にもとづき、入札で決まった料率を授受する証券会社が決めるなし
配当金配当金相当額を売方から買方に支払う証券会社が定めたルールで処理配当金を受け取る
株主の権利原則、金銭で処理(議決権、株主優待は対象外)証券会社が定めたルールで処理すべての株主の権利を得る

表はJPXの2026年9月の資料にもとづくものです。同じ資料には、制度信用から一般信用へ、一般信用から制度信用へと、途中で変更することはできないと注記されています。

制度信用は、銘柄によって「売り」ができない場合がある

JPXの資料では、制度信用の対象を、証券会社が証券金融会社から資金を借りられる銘柄(制度信用銘柄。おおむね「買い」ができる)と、資金も株式も借りられる銘柄(貸借銘柄。おおむね「売り」も「買い」もできる)に分けて説明しています。一般信用で取引できる銘柄は、証券会社が取り扱いを決めます。

信用取引のコスト

JPXの資料では、現金取引にはないコストとして、金利(信用買いに伴う融資のコスト)、貸株料(信用売りに伴う貸株のコスト)、品貸料(逆日歩)(信用売りに伴う貸株の追加のコスト)、口座管理や権利処理のための手数料などが挙げられています。

品貸料は、制度信用取引で貸株が不足したときに、証券金融会社が不足分を入札で調達し、その結果として決まる料率です。品貸料が付いた場合、その銘柄で制度信用の売りをしているすべての顧客は相当する金額を支払い、買いの顧客は受け取ります。料率は、貸借取引の残高が確定したあとに銘柄ごとに公表されるため、取引した時点では、付くかどうかやいくらになるかが分からない場合があります。金利や貸株料の水準は証券会社によって異なるため、具体的な数字は書きません。

配当・株式分割と「権利処理」

配当や株式分割などで「権利落ち」が起こると、同じ種類・数量の株を返しても元と同じ価値にならないため、その差を調整する必要があります。JPXはこれを「信用取引の権利処理」と説明しています。制度信用では株主優待が対象外とされているため、優待目的で信用取引を考える場合は、取引の種類や証券会社ごとの扱いの確認が必要です。株主優待とは?初心者が知っておきたい基礎知識と注意点の「クロス取引」の項もあわせてご覧ください。

⑤ 信用取引のリスクを整理する|元手を超える損失・信用売り・規制

JPXの資料では、信用取引全般の留意点として、手元資金以上の損失、コスト、追証、取引の規制の4つが挙げられています。ここでは、誤解されやすい点を取り上げます。

保証金は「損失の上限」ではない

委託保証金は、新規に信用取引を行うときに必要な担保であり、損失がそこまでに収まることを意味するものではありません。たとえば、保証金30万円で約100万円の株を買った場合、株価が大きく下がれば、損失が保証金の30万円を超えることがあります。その場合は、追証の差し入れなど、追加の資金が必要になります。JPXの資料も、投資判断と逆の方向に株価が動いた場合などに大きな損失を被る可能性があると述べています。

信用売り(空売り)は、損失に上限がない

信用売りは、借りた株を売り、あとで買い戻して返す取引です。株価が下がれば利益、上がれば損失になります。JPXの資料では、株価に上限がないため、最大損失は無限大と説明されています。また、信用売りは空売りの一種であるため、空売り規制の制限を受けます。買いから入る場合は、株価がゼロを下回ることはないため、損失の大きさには取引した金額(約定価額)という限りがあります(費用を除く)。一方、売りから入る場合は、株価の上昇に歯止めがありません。

返済期限と取引規制

制度信用取引の貸付けは、6か月以内に返済しなければならないとされています。含み損がある状態でも、期限が来れば返済(決済)が必要になります。また、東証は信用取引の利用状況をモニタリングし、利用が過度と認められる銘柄について、委託保証金率の引上げや、代用の制限(現金の差し入れ)などの規制措置を行います。JPXの資料には、一次規制の例として、委託保証金率50%(うち現金20%)が挙げられています。規制の状況は、JPXのウェブサイトで公表されています。

⑥ 税金とNISAの関係

NISA口座では、信用取引はできない

日本証券業協会の「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2026年9月版)では、NISA口座で信用取引を行うことはできませんと明記されています。あわせて、現引きで取得した上場株式等を、つみたて投資枠や成長投資枠に受け入れることもできないとされています。また、NISA口座で保有する上場株式等を信用取引の代用有価証券として使った場合や、現渡しでNISA口座から払い出された場合は、その時の時価により払い出されたものとして扱われます。NISAの基本は新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いをご覧ください。

課税口座での扱い

国税庁のタックスアンサー(番号1463)によると、株式等の譲渡による所得は、他の所得と分けて税金を計算する申告分離課税で、上場株式等の譲渡益の税率は20%(所得税15%、住民税5%)です。同ページには、このほかに復興特別所得税を所得税とあわせて申告・納付する扱いも示されています(令和8年4月1日現在の法令等にもとづく説明)。また、主な特例として、特定口座制度、上場株式等の譲渡損失と配当所得等との損益通算、譲渡損失の繰越控除などが挙げられています。

信用取引と特定口座については、租税特別措置法(第37条の11の3)に定めがあります。信用取引を特定口座で処理した場合は、その信用取引による上場株式等の譲渡の所得を、それ以外の株式等の譲渡の所得と区分して計算するとされ、処理には、証券会社との契約で「特定信用取引等勘定」を使うことなどを定める必要があります。国税庁の番号1476では、源泉徴収を選択した特定口座では、差金決済に係る差益に相当する金額が支払われる際に、所得税などが源泉徴収されると説明されています。

金利、貸株料、品貸料、配当落調整額といったコストの税金上の扱いは、現在の国税庁の資料で確認できなかったため、書きません。損益通算や繰越控除の扱いも含めて、国税庁、税務署、取引する証券会社にご確認ください。口座の種類の違いは特定口座と一般口座の違い|投資の確定申告の基礎、課税口座の税金の全体像は投資にかかる税金の基本で整理しています。

⑦ 初心者がつまずきやすい点と、取引条件の確認項目

つまずきやすい点

取引条件を確認する項目

信用取引の口座を持つか、取引するかの判断は、人によって前提が違うため、この記事では結論を示しません。証券会社の公式サイトや契約締結前交付書面で確認できる項目をまとめます。

信用取引でも、成行・指値・逆指値といった注文の種類の考え方は株の注文方法|成行・指値・逆指値の違いと使い分けと共通ですが、「新規」か「返済」か、制度信用か一般信用かといった指定が加わります。投資に回すお金の考え方は生活防衛資金の考え方、証券会社を比べる視点は証券会社の選び方で整理しています。

現物取引の注文のしくみを、おさらいしたい方へ

信用取引でも、注文の種類や取引所のルール(取引時間・板・値幅制限など)は現物取引と共通する部分があります。基本から整理した記事があります。

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📌 まとめ

  • 信用取引は、委託保証金を担保に、証券会社から資金や株を借りて売買し、期限内に返済する取引。返済は、反対売買か、現引き・現渡しで行う
  • 委託保証金は約定価額の30%以上(最低30万円)。30%の場合は保証金の約3.3倍の金額まで取引できる計算になる(JPX)
  • 維持率は20%。当初の保証金から損失や費用を差し引いた額が売買代金の20%を下回ると、追証(追加の保証金)が必要になる。差し入れの期限などは証券会社の規定で確認する
  • 制度信用は、期限が最長6か月で、取引所が選んだ銘柄が対象。一般信用は、期限や品貸料などを証券会社が決める。途中で変更はできない
  • コストは、金利・貸株料・品貸料・手数料など。品貸料は、取引した時点では料率が分からない場合がある
  • リスクは、手元資金以上の損失が出る場合があること、信用売りは最大損失が無限大とされること、取引規制で保証金率が引き上げられる場合があること
  • NISA口座では信用取引はできない。課税口座での扱いは、国税庁や証券会社で確認する。取引条件は証券会社ごとに違うため、最終判断はご自身で

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や取引方法の勧誘、個別の投資助言・税務相談を行うものではありません。制度の内容は2026年10月時点で確認できた情報にもとづいており、変わる場合があります。信用取引では、手元資金以上の損失が出る場合があります。取引条件は証券会社によって異なるため、取引する証券会社の資料をご確認のうえ、最終判断はご自身で行ってください。