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NISAで売却したら枠は復活する?仕組みと注意点

サイト管理人
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株式投資歴20年。米国株・海外株・FX投資の経験をもとに情報をお届けします。
NISAで買った商品を売ったら、使った非課税の枠はどうなるのでしょうか。「一度売ると枠が消えてしまう」と思っている方もいれば、「売ればすぐ同じ年に買い直せる」と考えている方もいます。実は、2024年からの新しいNISAでは、売却した商品の「買ったときの金額(簿価)」の分だけ、翌年以降に枠を再び使えるようになるとされています。この記事では、その仕組みと、間違えやすい点を、金融庁と国税庁が公表している内容にもとづいて整理します。売るべきか、持ち続けるべきかを助言するものではありません。
⚠️ はじめにお読みください
この記事は2026年10月時点で確認できた金融庁・国税庁の公表情報をもとにした、一般的な制度の説明です。制度の内容や手続きの細かな取扱いは、金融機関によって異なる場合があり、今後変更されることもあります。個別の状況に合わせた投資助言や税務判断ではありません。投資には元本割れの可能性があります。最終的な判断はご自身で行い、不明点は利用中の金融機関や税務署、専門家にご確認ください。

① 結論:枠は「翌年以降」に「簿価の分」だけ戻る

金融庁のNISA特設ウェブサイトでは、商品を売却した場合について、翌年以降、売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になると説明されています。ここで大事なポイントは、次の3つです。

🌿 枠の復活の3つの基本
  • 戻るのは「翌年以降」:売却した年のうちに、同じ年の枠として使い直すことはできません
  • 戻る金額は「簿価」:値上がりしていても、値下がりしていても、戻るのは買ったときの金額分です
  • 戻るのは生涯の枠:1年あたりの投資の上限(年間投資枠)が増えるわけではありません

「簿価(ぼか)」とは、その商品を買ったときの金額(取得金額)のことです。いまの値段(時価)とは別のものです。この記事では、この簿価という言葉が何度も出てきますので、「買ったときの金額」と読み替えてください。

② 前提:新NISAの2種類の枠をおさらい

枠が復活する話を理解するには、新NISAに「1年あたりの枠」と「生涯の枠」の2つの考え方があることを押さえておく必要があります。金融庁の公表内容では、次のとおりです。

名称 内容 売却すると
年間投資枠 1年間に投資できる上限。つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円(併用すると年360万円) 増えない(毎年あらためて設定される)
非課税保有限度額(生涯投資枠) 生涯を通じて保有できる上限。合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円まで 簿価の分だけ、翌年以降に再利用できる

つまり、「枠が復活する」と言うときの「枠」は、主に生涯の枠(1,800万円)のほうを指しています。2つの枠の違いや、1,800万円と1,200万円の関係については新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いで詳しく整理しています。

③ 「簿価残高方式」とは?計算例で確認

国税庁の資料では、新NISAの非課税保有限度額は「簿価残高方式」で管理され、枠の再利用ができる、と示されています。これは、いま持っている商品の簿価(買ったときの金額)の合計を「使っている枠」として数え、売ればその分が「空き」になる、という考え方です。

数字を使って確認してみましょう。以下は実在の人物ではない、説明用の数字です。

💡 説明用の計算例(架空の数字です)
  • これまでに買った商品の簿価の合計が、1,000万円だったとします(生涯投資枠1,800万円のうち、1,000万円を使用)
  • そのうちの1つの商品は、簿価200万円で買い、いまの時価が300万円になっていたとします
  • この商品を300万円で売却しました。売却益100万円は、NISA口座の中なので非課税です
  • 翌年以降に再利用できるのは、簿価の200万円分です。時価の300万円ではありません
  • 使用している枠は1,000万円から800万円に減り、空きは800万円から1,000万円になります

値上がりした100万円分は、枠には戻りません。逆に、同じ商品が150万円に値下がりして売却した場合でも、再利用できるのは簿価の200万円分です。損をしたから多く戻る、得をしたから少なく戻る、ということはなく、枠の計算は時価に左右されません。これが「簿価で管理される」ということの意味です。

⚠️ 「売却代金」と「戻る枠」は別のもの
売却したお金そのもの(上の例では300万円)が、そのまま非課税で再投資できるわけではありません。再投資できる範囲は、戻った枠(簿価の分)と、後で説明する年間投資枠の両方の範囲内になります。

④ いつ再利用できる?年間投資枠との関係

売却した年は再利用できません

金融庁は、枠の再利用は「翌年以降」と説明しています。国税庁の資料でも、買付けできる金額を判定する算式が、「その年の前年12月31日時点」の簿価の残高を基準にして示されています。このため、年の途中で売却しても、その年のうちに枠が空くことはなく、再投資を考える場合は翌年以降の話になります。具体的に翌年のいつから買い付けられるかや、手続きの流れは金融機関ごとに案内が異なる場合があるため、利用中の金融機関でご確認ください。

再利用できても、年間投資枠は超えられません

金融庁の資料には、再利用できる非課税保有限度額が、その年の年間投資枠に上乗せされるわけではないと明記されています。生涯の枠に空きがあっても、1年に投資できる金額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円までです。

💡 説明用の例(架空の数字です)
  • 生涯の枠に1,000万円の空きができた翌年でも、成長投資枠で1年に買えるのは240万円までです
  • つみたて投資枠と合わせても、1年に使えるのは最大360万円までです
  • 空きを使い切るには、数年にわたって年間投資枠の範囲で少しずつ使っていくことになります

なお、成長投資枠には1,200万円という個別の上限があります。枠ごとの簿価残高の管理の詳細(どちらの枠から売ったものが、どの上限に反映されるか)は、国税庁の資料で算式が示されています。実際の残りの枠は、証券会社の画面や国税庁の仕組みで管理されている金額で確認できますので、ご自身の数字は金融機関でご確認ください。

⑤ 売却するときの注意点

枠が戻るからといって、売却に注意点がないわけではありません。公的資料から確認できる範囲で、押さえておきたい点をまとめます。

1. 損失が出ても、損益通算・繰越控除はできません

国税庁の資料では、非課税口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失は、税務上「ないものとみなされる」とされています。そのため、特定口座や一般口座で出た利益や配当と相殺(損益通算)して税金を減らしたり、損失を翌年以降に繰り越したりすることはできません。

なお、金融庁は「NISA口座で保有している商品を売却した場合に、損益がなくなるということではありません」とも説明しています。税金がかからないだけで、値上がりも値下がりも、実際のお金としては発生しているという意味です。損益通算の仕組み自体は投資にかかる税金の基本|NISA以外の課税口座の仕組みで整理しています。

2. 売ったあとに再投資できるまで、時間があく場合があります

枠が戻るのは翌年以降のため、売却してから再びNISAの枠で買い付けるまでは、少なくとも売却した年の残りの期間があきます。この間、売却したお金を投資していない状態(または課税口座で投資する状態)になる点は、仕組み上避けられません。売るタイミングを考えるときには、「枠が戻る時期」もあわせて意識しておく必要があります。売るか持ち続けるかの判断は、人それぞれの状況によって異なります。ここでは、どちらが良いかをお伝えすることはできません。

3. 金融機関を変えた場合

金融庁の資料によると、金融機関を変更し、変更前の金融機関で保有していた商品を売却した場合、その枠を再利用できるのは変更後の金融機関のNISA口座に限られます。金融機関の変更は年単位で可能とされていますが、その年に変更前の口座で買付けをしている場合など、変更できないケースもあります。手続きの期限などは国税庁の資料や、各金融機関の案内をご確認ください。

4. 売却から現金化までの流れ

売却代金を受け取れるまでの日数や手数料は、金融機関や商品によって異なります。生活に必要なお金は、投資とは別に備えておく考え方もあります。詳しくは生活防衛資金の考え方|投資を始める前に用意すべきお金をご覧ください。

⑥ 旧NISAとの違いと、2026年時点の制度変更

旧NISA(2023年まで)との違い

金融庁の資料では、2024年からの新しいNISAで、売却後の枠の再利用が新たに認められたと整理されています。2023年までのつみたてNISA・一般NISAでは、非課税の期間が決まっており(一般NISAは5年、つみたてNISAは20年)、売却した分の枠を使い直すという考え方はありませんでした。

項目 2023年までのNISA 2024年からの新NISA
非課税で保有できる期間 一般NISAは最長5年、つみたてNISAは最長20年 無期限
売却後の枠の再利用 認められていなかった 簿価の分を翌年以降に再利用できる
⚠️ 旧NISAで持っている商品を売っても、新NISAの枠は戻りません
金融庁の資料では、2023年までのNISA口座で保有している商品を売却しても、現行NISAの非課税保有限度額は再利用できないとされています。旧NISAの商品は、新NISAの枠の外で管理されています。旧NISAの商品を売却する必要はないとも案内されています。

2026年時点の制度変更について

金融庁のNISA特設ウェブサイトでは、2027年1月から、つみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0〜17歳の方もNISA口座を開設できるようになると案内されています(2026年10月時点で確認できた範囲)。未成年者の枠の上限額や、払い出しの条件など、18歳以上とは異なる点があります。この内容はこどもNISAとは?2027年開始の新制度をわかりやすく解説で扱っています。

一方、今回確認した金融庁・国税庁の資料の範囲では、この記事で説明した「売却した分の枠が翌年以降に再利用できる」という仕組みそのものを変える改正は、確認できませんでした。ただし、制度は見直されることがあります。実際に売却や再投資を考えるときは、最新の金融庁の案内でご確認ください。

⑦ よくある疑問・誤解

Q. 売却した当日・同じ年に、枠が戻ることはありますか?

金融庁は「翌年以降」と説明しており、売却した年のうちに枠が再利用できるとは案内されていません。

Q. 値上がりしてから売ると、枠も大きくなって戻りますか?

戻りません。戻るのは簿価(買ったときの金額)の分だけです。前章の計算例のとおり、時価は枠の計算に関係しません。

Q. 一部だけ売ることもできますか?その場合の枠は?

NISA口座では、保有している商品の一部を売却することもできます(金融庁の資料でも「部分的に売却するなど」の使い方が例示されています)。その場合に戻るのは、売却した部分に対応する簿価の分と考えられます。具体的な計算方法は金融機関の画面や案内でご確認ください。

Q. 売ると、毎年の投資上限(年間投資枠)も増えますか?

増えません。金融庁の資料では、再利用できる枠が、その年の年間投資枠に上乗せされるわけではないとされています。

Q. 複数の金融機関に商品を持っていたら、枠はどう管理されますか?

金融庁の資料では、非課税保有限度額は利用者ごとに、国税庁が一括して管理するとされています。複数の金融機関で商品を持っている場合は、その枠を全部合算して管理されます。NISA口座は、1人1口座が原則です。金融機関ごとの口座の選び方はNISA口座はどこで開く?証券会社比較の考え方で扱っています。

Q. 「売ったほうがいい」「売らないほうがいい」はどちらですか?

この記事は、制度の仕組みの説明にとどまり、どちらがよいかという助言はしていません。NISAは長期の資産形成のための制度ですが、資金が必要になったときに売却できる柔軟さも、制度の特徴のひとつです。ライフプランに合わせた考え方はiDeCoとは?NISAとの違いと使い分けなどもあわせて参考にしてください。

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📌 まとめ

  • 新NISAでは、商品を売却すると、売却した商品の簿価(買ったときの金額)の分の枠が、翌年以降に再利用できるとされている
  • 売却した年のうちには再利用できない。戻る金額は簿価であり、値上がり分は戻らない
  • 再利用できるのは生涯の枠(非課税保有限度額)。年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)が増えるわけではない
  • NISA口座での損失は税務上ないものとみなされ、損益通算・繰越控除はできない
  • 2023年までのNISAで持つ商品を売っても、新NISAの枠は再利用できない
  • 売るか持ち続けるかは個人の状況による。投資には元本割れの可能性があり、最終判断はご自身で行う
📚 参考にした公的機関の情報
  • 金融庁「NISA特設ウェブサイト」NISA制度の概要・「NISAを知る」・よくある質問(2026年10月確認)
  • 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(2024年6月版の資料)
  • 国税庁タックスアンサー「NISA制度」(番号1535)、国税庁「新NISAの概要」

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言、税務上の判断を行うものではありません。制度の内容や取扱いは、法改正や金融機関によって変わる場合があります。実際のお取引や税務上の扱いは、金融庁・国税庁の最新の公表資料、利用中の金融機関、税務署、専門家にご確認ください。投資にはご自身の判断と責任で臨んでください。投資には元本割れのリスクがあります。